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精神科の薬はクセになるか? (5)

ベンゾジアゼピン(精神安定剤、睡眠薬)の身体的な依存は、ベンソジアゼピンが添付文書に定められた適正使用量の範囲内で用いられた場合でも生じます(これを常用量依存とか、臨床用量依存と呼びます)。

依存が生じるまでの期間は3~8ヶ月とされています。

眠剤もしくは安定剤を、承認用量内で3ヶ月間の服用することは、少なくとも日本の精神科臨床においては珍しいことではありません。

むしろうつ病の治療ともなると、眠剤や安定剤が2種類以上組み合わせて処方されることもしばしばです。

以前に述べたように、ベンゾジアゼピンは、眠剤であろうと安定剤であろうと脳内のほぼ同じ部位に作用するので、2種類以上のベンゾジアゼピンが併用された場合、個々の薬の用量が適正範囲に収まっていたとしても、ベンゾジアゼピン全体ではかなりの高用量を服用している、ということがしばしばです。

明確なエビデンス(証拠、根拠)は示されていませんが、ベンゾジアゼピンの依存は用いられているベンゾジアゼピンの用量が高いほど形成されやすいと言われており、わが国では一般的な多剤併用・慢性(漫然)投与の慣習は依存症の温床であると言えるでしょう。

こうした事実がありながら、ベンゾジアゼピンの依存リスクについては、わが国では過小評価されている現実があるように思われます。


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2006年12月12日 12:47に投稿されたエントリーのページです。

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