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線維筋痛症 (6)

線維筋痛症 (3)線維筋痛症 (4)の2回に渡って紹介した論文(「臨床精神薬理」,2007年2月号(第10巻第2号))で示されている内容はまさにそういう意味です。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は線維筋痛症の抑うつ症状を改善しますが,疼痛には効果がありません。
一方で,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は線維筋痛症の抑うつ症状と疼痛の両方を改善し,両症状の改善には相関がありません。

このことと,痛覚を伝える神経の経路上においてノルアドレナリンやセロトニンが大きな役割を果たしているという知見から,SNRIの線維筋痛症に対する作用点は,抑うつ症状に対する作用点とは(多少のオーバーラップはあったとしても)独立したものであろうと考えられています。

これを強調すべきだと思うのは,線維筋痛症のような,確定診断のための基準が確立しておらず,有用な検査も知られていない疾患概念は,しばしば受け入れられるまでに時間がかかり,あたかも患者さんご本人の「心の弱さ」のように扱われることがあるからです。

少し前に話題になった「脳脊髄液減少症」なども同様の例かもしれません。
疾患として理解されず,周囲からは「気のせい」,「怠けているだけ」等々と心無いことを言われ,医療者からも「検査で何もみつからないのだから精神的な問題」であると突き放され,それ以上の治療は受けられないまま精神科に紹介されることが少なくありません。

実際のところ,少なからぬ線維筋痛症の患者さんが精神科で治療されているのは,ほとんどの場合で,精神科医がSNRIを使い慣れているから,というポジティブな理由からではないのです。

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コメント (1)

はじめまして。
私は、長年「気のせい」「精神的なもの」と言われ続けたさまざまな症状が、
最近になってRI検査で「脳脊髄液減少症」であったとわかりました。

うつやパニック障害、気分障害、頭重、症状の日内変動、過呼吸のような一見、精神科のような症状の、
原因のひとつに「脳脊髄液減少症」がある場合もあるという事実を、一人でも多くの精神科の先生方に知っていただきたいと願っています。

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2007年05月13日 12:06に投稿されたエントリーのページです。

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