わが国においてメタボリック・シンドロームが昨今これほど問題になってきている理由の一つとして,日本人の栄養処理能力が貧困であるにもかかわらず食生活が欧米化してきていることが挙げられるのではないかと考えられています。
歴史的に見て日本人の食生活がこれほどまでに豊かだった時代はありません。
日本人の内臓の性能が,そうした食生活の変化に追いつけていない結果の一つが,糖尿病を始めとする代謝系の疾患の罹患率の上昇であるわけです。
そしてそれは統合失調症の患者さんにも当てはまります。
統合失調症であることそのものが,遺伝的なレベルで,糖尿病の危険因子だということがわかっています。
統合失調症であることで二次的に生じる活動性や運動量の低下もまた,糖尿病の危険因子です。
そこにきて,統合失調症の治療薬として血糖上昇の副作用リスクが高いジプレキサを飲めば,それらのリスクが高まることは必定です。
つまり,ジプレキサの薬理学的プロフィールは,特に日本人の統合失調症患者さんにとって不利に働く性質である可能性があります。