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双極性障害(躁うつ病)の診断と治療 ―典型的な治療失敗例(疑)を通じて― (1)

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私の悪い癖ですが,現在進行中の「睡眠薬と安定剤の正しい止め方」が完結しないうちにまた別のシリーズを開始することにしました。
理由は,二重の意味で,私が記事を寄稿しているメールマガジン「メンタルクリニック.mail」です。

ひとつめの理由は,メルマガの水曜版で本ブログにタマゴ丼さんからいただいたご質問に回答しているうちに,「睡眠薬と安定剤の正しい止め方」で示すべき最終結論がより明確になってきたことです。
どうやら,この件についてはメルマガを先行させた方が良い結果が得られそうだと思えてきました。

ふたつめの理由は,メルマガを通じて知り合ったある精神科医とこの話題で盛り上がり,彼がこのテーマ――双極性障害(躁うつ病)の診断と治療でブログに記事を書くことを強く勧めてくれたからです。
やや話が複雑になりますが,正確を期するならば,彼――S医師としましょう――とはメルマガを通じて知り合ったわけではありません。
私は以前に,別のところでやはり精神医学をテーマにしたブログを個人で運営していました。
S医師はそのブログのある記事を読み,関心をもってくれて,以来しばらくの間はメールのやりとりなどをしていたことがあるのです。学会で実際に会ったことも2度ほどあります。

S医師は私と同年代ですが,臨床論文を多数執筆され,学会発表なども多くこなされている気鋭の臨床家といったイメージの精神科医でした。

S医師がある事情で臨床を離れたことと,私が,私の旧ブログに目を留めて下ったある企業から声をかけていただいてこの「メンタルクリニック.net」に執筆の場を移した(このブログの独自ドメインとサーバーは,その企業から無償で提供を受けているものです)ことが重なって,この2~3年,彼とは疎遠になっていました。

そのS医師がたまたま,「メンタルクリニック.mail」の読者になってくれていたのです。
メルマガの記事のある表記の間違いを彼がメールで指摘してくれたことがきっかけで,メルマガの,ひいてはこのブログの執筆者が私であることが彼の知るところとなり(このブログで使っている「猫山司」はもちろんペンネームですし,前のブログはまた別のペンネームを使っていました),またメールのやりとりが始まったというわけです。

そして,S医師が,私が旧ブログで書いたある記事をこのブログに再録することを強く勧めてくれたのです。
それがこのエントリーの表題にもなった双極性障害(躁うつ病)に関するものであり,S医師と私の交流が始まるきっかけにもなった記事でした。

それは星和書店から発行されている「マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low」と,その続編である「マンガ境界性人格障害&躁うつ病REMIX 日々奮闘している方々へ。マイペースで行こう!」という本を取り上げたもので,私は著者・たなかみる氏の闘病記でもあるこの両冊の内容を通じて,たなかみる氏が受けてきた診断と治療が双極性障害におけるそれらの典型的な失敗例である可能性を指摘しました。

いま読むと若書きで筆が走ってしまった部分もありますが,悪くはない内容であったという自負がなくもありません。
また,双極性障害(躁うつ病)が昨今の精神医学のトピックのひとつであることや,精神科領域でもっともメジャーな疾患であるにもかかわらず正しい診断や治療を行える精神科医が少なく,現時点において,患者さんたちにとってこの記事に価値があるであろうとも考えました。

というわけで,過去に他ブログで書いた記事ではありますが,その後に蓄積された知見を盛り込んで,新たにリライトして再録することにしました。

前置きが長くなりましたが,新しいシリーズの始まりです。

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コメント (1)

はじめまして。
私は躁うつ病ですが、長いことうつ病だと言われてきました。うつ病になったのは9年前、躁うつ病だと言われたのは2年前です。
「うつ病」時代にもSSRIのルボックスで躁転してたはずなのですが。私も治療失敗例といえるかも。

躁うつ病と言われて2年たって、やっと病気と向き合う覚悟ができて、このブログにたどりつきました。それで、たなかみるさんの本も知り、買って読みました。
ブログに感想を書いたのでトラックバックさせていただきました。

この記事がなければ、たなかみるさんの本との出会いもなかったでしょう。ありがとうございました。

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2008年08月02日 21:42に投稿されたエントリーのページです。

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