さかきさんからのご相談に対する回答です。
さかきさんのご質問にお答えするためには、さかきさんがどのような診断に基づいてデパスを処方されたのかをまず知る必要があります。
他に精神医学的な疾患がなく、不眠だけが問題である場合であっても、その不眠に対して「概日リズム睡眠障害」のような診断が付くこともあります。
「なぜ眠れないのか」がわかれば、薬物療法以外の対応が可能かもしれません。
また、うつ病のような精神医学的基礎疾患があった上での不眠であるならば、原病がよくならないうちは、不眠だけが改善することは稀かもしれません。
この場合のうつ病と不眠は、風邪と咳のような関係にあるといえます。
いずれの場合も、第一義的には、まず主治医に診断と服薬の見込み期間を確認すべきでしょう。
本来、医師が薬物を処方する際には、「出口戦略」をあらかじめ考えていて然るべきです。
外科医は、手術を始める前に、その手術の手順が頭に入っていて、どれくらいの時間でメスを置けるかを把握しています。でなければそもそも手術を行なうべきではないでしょう。もちろん、不確定要素のために当初の計画通りに手術が進まなかったり、合併症を起こすことはありえるでしょうが、それは行き当たりばったりに患者さんのお腹を切ることとは違います。
睡眠薬を含めて、医学行為であるかぎり、薬の処方も同じように、その後の経過に関する一定の見立てのもとに行なわれなければなりません。
しかし残念ながら、日本の精神科の臨床においては、「処方した薬を最終的にどうするか」を決めずに、「とりあえず」患者さんの症状や訴えに応じて、診察医が良かれと思う薬を処方し、それが漫然と継続されることが少なくありません。
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