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精神科の薬はクセになるか? (9)

ベンゾジアゼピン(抗不安薬、眠剤)の好適応であるといえるうつ病や不安障害において、もっとも良く見られる処方は定時処方+頓服であるように思われます。

比較的高力価で作用時間が短いデパス(エチゾラム)、ワイパックス(ロラゼパム)、ソラナックス(アルプラゾラム)といった安定剤を1日3回食後に、睡眠薬を眠前に服用させた上で、不安時や不眠時に追加服用できる眠剤や安定剤を別に処方しておくというやり方です。

うつ病で不眠や不安が強かったり、パニック障害でパニック発作が頻発する治療初期においてはこうした処方によって患者さんが享受する利得は損失を上回るのでしょうし、私もこの時期の患者さんに対しては上述のような治療を行うことはあります。

しかしベンゾジアゼピンがいずれの病気においても対症療法薬でしかなく、かつ依存性がある薬物であることを考慮するならば、安定剤や眠剤の慢性投与が行われる期間は厳密にコントロールされるべきです。

例えばうつ病においては、根治療法により近い薬物療法は、言うまでも無く抗うつ薬による治療です。
抗うつ薬が効果を発現するまでには、十分量が投与されてから4~6週間を要します。つまりこの間はベンゾジアゼピンによる対症治療が必要となります。

一方で、前述したように、ベンゾジアゼピンは規定用量内で用いられていた場合でも、最短3ヶ月で依存が成立してしまいます。

これらを考え合わせると、治療当初1ヶ月間はベンゾジアゼピンによって不眠や不安を積極的に取り除き、抗うつ薬の効果が現れ始める1ヵ月後から、ベンゾジアゼピンの依存が生じる恐れのある3ヵ月後にかけて眠剤や安定剤の減量や変更を行えば、依存のリスクを最低限に抑えて、治療効果を最大化できることになります。



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2006年12月26日 08:18に投稿されたエントリーのページです。

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