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睡眠薬と安定剤の正しい止め方 (10)

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日本における1998年の抗不安薬(≒ベンゾジアゼピン系抗不安薬)の年間処方数は1億2千万件を超えています(文献1)。
「年間処方数」という言葉自体がぴんとこないかもしれませんが,要するに(赤ん坊から高齢者までひっくるめて)日本国民が年に1度はベンゾジアゼピンを処方されていると解釈すればよいでしょうか。

この数字は比較のために挙げました。
米国の抗不安薬(≒ベンゾジアゼピン系抗不安薬)の年間処方数は2千万件,英国では1千万件未満ですから,日本ではベンゾジアゼピンの処方件数は欧米各国の6~20倍にも及ぶことになります。
人口の違いによる調整を加えずとも,日本の処方件数が図抜けていることがおわかりになるでしょう。

しかもこれはあくまで「件数」であって,1件ごとの処方量は反映されていません。手元に数字はないのですが,1人の患者さんに1回に処方されるベンゾジアゼピンの用量もまた,日本は図抜けているのではないかと予想します。

英国でも米国でも,学会や規制当局が,ベンゾジアゼピンについては急性の不眠や不安に対する短期・頓服での使用を推奨し,長期使用を避ける指導がなされています。

日本ではようやく近年になってベンゾジアゼピンの依存の問題が少しずつ専門誌などで取り上げられるようになってきましたが,学会から実効性のあるガイドラインが発表されたり,厚生労働省から規制が加えられたりといった効き目のありそうな方策はまったくといってよいほど講じられていないのが現実です。

参考文献
1. 村崎光邦:わが国における向精神薬の現状と展望―21世紀を目指して―.臨床精神薬理 4:3-27,2001
2. 田島治:ベンゾジアゼピン系薬物の処方を再考する.臨床精神医学 30:1065-1069,2001

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コメント (1)

レキソタン:

先生のベンゾジアゼピンの離脱症状に係るコメントには非常に共感しました。私の家族も、リーゼ、レキソタンにおける離脱症状に非常に苦しんでおります。日本は製薬会社と医療業界、厚生労働省は癒着し、ベンゾジアゼピンの処方は無法地帯と化しているのでしょうか。マスコミも含めてほとんど取り上げられていないのは、極めて危険な状態だと思います。(先生もペンネームでブログを書かれているのは、やはり医師会や学会でタブーな状況下にあるのでしょうか)ただ、大勢の患者が悲痛な苦悩を抱え拡大していると思いますので、是非投薬害とも言うべき離脱症状を周知してほしいと応援する次第です。

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2007年12月04日 22:26に投稿されたエントリーのページです。

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