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患者さんが自分の紹介状(診療情報提供書)を読んでよいか? (6)

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日本医師会の「診療情報の提供に関する指針」や厚生労働省の「『診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会』報告書」にどの程度の法的拘束力や罰則があるのかは存じませんが,これまでのことをまとめるならば以下のようになります。

普通,紹介状(診療情報提供書)を介した患者さんの紹介は以下のような手順で行われます。
①紹介元の医師がある患者さんの紹介状(診療情報提供書)を作成→②その患者さんが紹介状(診療情報提供書)を持参して紹介先の医療機関を受診→③紹介先の医師が紹介状(診療情報提供書)の内容を確認の上,患者さんを診察。

まず,②のプロセス――患者さんが紹介元の医師から紹介状を受け取り,紹介先の医療機関に手渡すまで――において患者さんが紹介状の中身を見ることは,法的にも倫理的にも望ましいことではないようです。

③以降は,紹介先の医師が診療情報提供書をカルテに綴じ込んで「診療記録等」の一部にしてしまいますから,それを閲覧するためにはその医療機関が定めたルールに従って開示を求める必要があります。

①でも,紹介元の医師は患者さんの同意の上に紹介状を作成した時点で,控えをカルテに綴じ込みます。それ以降はその控えは紹介元の医療機関の「診療記録等」になりますから,やはりそれを閲覧するためにはその開示要求手続きが必要です。

患者さんが自分についての紹介状の中身を知るもっともシンプルな方法は,だから,①以前に,どういった内容の紹介状を作成するのかを紹介元の医師に確かめ,可能なら封筒に入れる前に閲覧させてもらうことでしょう。
心理的なハードルは高いかもしれませんが。

何だか事務的というか,医師-患者関係も世知辛くなったものだというのが,今回この問題を調べてみての感想です。

(この項終わり)

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コメント (1)

はじめまして。
妹のことでいろいろ調べておりましたら、こちらにたどり着きました。診療情報提供書に関する取扱いについてはかなり疑問をもっておりましたので、読ませていただきまして大変勉強になりました。
妹は19歳のときに急に今で言う統合失調症になりました。それから約20年経ちますが、よくなるどころか普通の生活すら意識もなく困難な状態です。
事情があり、通院を10年ほどやめておりましたが、両親も高齢になってきたため考えたのち、手帳や年金の申請を行うことを心に決めて、現在姉のわたしが中心となって動いています。
よき精神科のお医者さまにご縁がなかったため、妹はもう取り返しのつかないことになってしまいました。が、家族としていろいろ反省すべきところもあり、日々考えさせられる毎日です。
これからもぜひよませていただきたく存じますのでどうか続けてくださいね。

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2008年01月03日 08:58に投稿されたエントリーのページです。

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