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Natsuさんからのコメント

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Natsuさんから、非常に示唆に富むコメントをいただきました。

たしかに、「ベンゾジアゼピンの依存は,それが形成されたのと同じ期間をかけてようやく大過なく離脱までもっていくことができる」という私の記述には舌足らずのところがあり、多くの患者さんに不安を抱かせてしまったかもしれません。
なにしろ、現在の日本の精神科医療の現場では、10年以上に渡って漫然と向精神薬を処方されている患者さんはザラにおられるからです。

コメントをいただいたエントリーを書いたときは私は漠然と2~3年程度の期間ベンゾジアゼピンを服用していた患者さんで処方を中止する場合をイメージしていたのですが、それ以上の長期服用に至ってしまった患者さんへの対処についても触れておくべきでした。


もっとも、原則的には、「10年物」、「20年物」の患者さんの薬剤整理が難しいのは確かで、中止はできない場合も少なくありませんし、減量・中止まで持っていける場合でもやはり年単位の時間がかかることが大半です。

Natsuさんの場合は、処方が比較的単純だったことと、飲まれていた薬がメイラックスだったことが有利に働いたのではないかと愚考します。

メイラックスは長時間作用型の精神安定剤で、中止してもすぐには脳や体から脱けずに、徐々に血中濃度が落ちていきます。
つまり、仮に急激に中断しても、短時間もしくは中時間作用型の安定剤を時間をかけて漸減したときのような体内動態を示すということです。

このため、私も含めて、ベンゾジアゼピン依存が生じた患者の薬物を減量したがるタイプの精神科医は、まずその患者さんが飲んでいるベンゾジアゼピンをメイラックスに置換し、それでも症状が落ち着いていたらメイラックスを減量する、という手法をよく用います。

Natsuさんはまさにそれと同じことをされたわけなので、このことが精神力・克己心とともに、「勝因」になったのではないでしょうか。

それ以前に、Natsuさんの主治医はなぜ10年間も投薬を続けていたのだろうという疑問は残りますが……。

ともあれ、大変参考になる体験談でした。ありがとうございました。


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コメント (3)

Natsu:

コメントの内容をとりあげて頂き、感謝しております。
先生の疑問にお答えするべく、筆をとらせて頂きました。

ここ10日ほど、薬を全廃していますが、何も起きず感謝の毎日です。
もちろん気分の高低は多少ありますが、前のようにそれを絶対の恐怖で、排除すべきだと思わないようになりました。

>それ以前に、Natsuさんの主治医はなぜ10年間も投薬を続けていたのだろうという疑問は残りますが……。

主治医は恥ずかしながら一人ではございません。4人おられまして、今の主治医でまる4年半です。前医の処方をやむなく継承したというところです。

また、ベンゾジアゼピン以外にも併用していた薬も1種類のみあります。

今の主治医は、2年ほど前に、メイラックスはやめられるからやめていきましょう、と1日2回を1日1回に減らして、レキソタンも無くしました。
ベンゾジアゼピンに頼りきっており、正直最後の一線は怖かったですが、私の場合は越えてみると越えられる山で、努力のしがいはあったと思います。

幸い、私が医師を信頼できたので、睡眠管理、主治医の注意事項はきくこと、疑問点は質問すること、1ヶ月の間に起きたことで主治医の治療参考になりそうなことを正確に報告することなど、診察協力は全力をあげてしたつもりです(汗)。

職場での適応努力もしました。体調管理をして、できるだけ休まないようにして、人とのかかわりをきちんとできるよう、すべてを勉強と思うよう心がけました。
それまでは意外ときちんとできていなかったのです。
もちろん、職場環境が良いことがラッキーだったのですけれども・・・

病態は人それぞれだと思うので、私の方法が必ずしもすべての人に適用できるとは思いません。薬を使用しているほうが良い場合もあるでしょう。私もどうにもならなければ服用を続けるつもりでした。

また、家庭の事情等があり無駄に病が長引き、診断も手こずらせてしまいました。どうにもならないことがある場合はしばらく薬と共存しつつ期が熟するのを待つのも一手のように今は思えます。
ドクターはできればころころ変えないほうが良いと思われます。

長文すみません。どうもありがとうございました。

ふみ:

【決して軽くはないだろうベンゾジアゼパム依存症になった患者は、日本ではどこの病院に受診したらよいのでしょうか。どうか教えてください。】

 猫山司先生 長文すみません。

 おかげで私は、私の体の中で何が起きているのか、ようやくわかりました。とても感謝しています。精神科の医師の方による言葉や文章の中で、初めて出合ったとても真摯で、なおかつ最新の知見に基づいた、ベンゾジアゼパム系睡眠薬についての真実が書かれた文章に出会えました。しかし私の主治医はそれを知らないと言い、そうではないかと思うと伝えると怒り出してしまいました。仕方なく、今日とてもふらふらの体で、やっとの思いで市立大学医学部精神科講師や助教授までされた他の医師が開業されているメンタルクリニックを探して受診してきましたが、その医師も「ベンゾジアゼパムの常用量依存症など知らない。医師は安全だから治そうと思って処方しているんだ」と怒りだされてしまいました。私は今、ではどこの病院に受診して私の体を治療していただいたらよいのかわかりません。依存症治療の専門病院を教えてもらい、夕方になって電話をしたところ、電話に出られた方はアルコール依存や違法薬品依存が専門で、処方薬依存についてはわからないと言われてしまいました。インターネットで検索してもわかりません。猫山司先生、【決して軽くはないだろうベンゾジアゼパム依存症になった患者は、日本ではどこの病院に受診したらよいのでしょうか。】どうか、どうか、是非できるだけ早く教えていただけませんでしょうか。今の身体症状はとてもとてもかなりきついと感じています。私は廃人になってしまいそうに感じています。お返事をいただけましたら幸いです。

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 私は8年前に職場でひどく悪質な虐待事件に巻き込まれて(一人は陰嚢圧損傷でICUに救急搬送されました)、人を救うために長期間無理をし過ぎて、また一人で問題を抱えざるを得なくて、気がつくとやる気がなくなり、イライラし、自分の赤ん坊の子どもを叩くようになり、また早朝目が覚めて眠れなくなりました。7年前に受診しうつ病の診断を受け、抗うつ薬と睡眠薬を処方してもらいました。

 薬物療法だけではなく精神療法も受けたいと思って色々とあたってきたのですが、昨年とても良いカウンセラーに出会い、半年にわたって毎週1時間半くらいかけて自分の苦しみを初めてじっくりと丁寧に聴いてもらえて、本当に心の奥からそれをわかってもらえて、自分を受け止め、加害者をも受け止められる心境になってきました。うつはようやく寛解したと思います。抗うつ薬はほとんどのまなくなっており、主治医以外の病院にもセカンドオピニオンが欲しくてかかり、うつは良くなっていると言われました。

しかしそれなのに、何年も日中眠くてたまらなかったのですが、日中に残る薬がなくなっても、処方される睡眠薬は増えているのに、逆になかなか眠れず、眠くてたまらず全く仕事にならなくなる日が続くようになりました。医師を信頼し7年間同じお医者さんから処方されたお薬を飲み続けてきたのですが、最近になり問題はうつではなくて、睡眠のほうにあると思いました。

それまでにも動悸がいつも夜になっても強くて、睡眠薬が効かない身体になっているのではと思って医師にも相談していましたが、疲れているせいや心のせいだろうと言われていました。再度インターネットで調べ始め、長期連用で効き目が悪くなるとの副作用が書かれているサイトや、一般の方からのベンゾジアゼパムの常用量依存についての記載があるサイトを見つけて、薬剤師の方の意見も聞き、主治医に「心はとても落ち着いている。仕事も忙しくなくなった。規則正しい生活もしている。でも薬を飲んでも3日間ほとんど眠れないでいて、とても眠くてほとんど仕事ができない旨を伝えました。けれども主治医は「ネットには色々なことが書かれている。ベンゾジアゼパムの常用量依存など知らない。安全な薬だとここに書いてあるだろう。これを信用できないのか。私を信用しないのか」と怒り出されてしまいました。「それでも私の体には現に薬が効かないです。眠くて眠くても眠れないんです。とてもとてもつらいんです」と訴えると、「リズムが狂っていると思うと、ロゼレム8mgを出します。少し眠気が残るけれどレメロン15mgという薬を出します」といって処方していただけました。

レメロンを初めて飲んだ土曜の夜は久しぶりに眠れました。でも翌日日曜日は少し残るどころか、夜までほとんど起きることさえできませんでした。食事はとれましたが他は何もできません。夕食時いきなり息子に怒り出してしまい怖くなりました。その晩は薬を全く飲みませんでした。それでもその夜は眠れました。その翌日の月曜日もとてももうろうとして、目の焦点が合わないし、離人感(というのでしょうか、自分が自分でない感じ)がしてとても変だったのですが、眠れていて体力はあったと感じましたが、何とか仕事をどうにかできました。怖くて月曜日の夜も薬を飲まないで布団に入りました。しかし全く眠れず、夜11時ごろになってようやく薬が抜けてきた感じがしましたが、そこから先が苦しかったです。苦しい中にいつまでたっても時計が進んでいないことがわかりました。発狂しそうになっていました。仕方なく夜の1時半くらいにレメロンは飲まないで他の睡眠薬だけ飲みました。2時から5時くらいまで少しうとうとでき、火曜日も仕事に行きました。火曜日の夜はつらくてレメロンを飲みました。水曜日と木曜日は仕事に行けませんでした。睡眠薬を飲まないとあまりに苦しくて発狂しそうになってしまいます。しかしレメロンを飲むと仕事も家事もほとんど何もできず、好きな本を読んだり、音楽を聴いいたりすることさえつらくてできず、廃人になってしまわないかとても怖いです。

金曜日ははうように仕事に行きました。仕事のあいまに、インターネットで調べ、猫山司先生の「睡眠薬と安定剤の正しい止め方」にめぐり合えました。ようやく初めて自分の体の中で起きていることについてとても腑に落ちる説明を見つけられたのだと思います。

レメロンを飲んで、土日はずっと起きられませんでした。夜には食器を落として割りました。日曜日の夜はレメロンを半錠とフルニトラゼパムとロゼレムだけ飲みました。ぎりぎり眠れ、とても変ながら今週の月曜日は仕事に行けました。途中スロープで転びました。そして火曜日の今日、職場で下痢便を少し漏らしていてもしばらくは気がつかないでいたことに後になってようやく気がつきました。そしてもうろうとしながら別のメンタルクリニックに行って帰ってきて、依存症の病院に電話をかけて、それからこの文章を恐縮ですが、命の問題と思って、添削もできていないままですが書いています。

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 私の服薬歴はおよそ以下のような具合でした。

 7年前の発病後もすぐに薬のおかげで症状はおさまり、朝まで眠れるようになっていたのですがなかなか怒りの気持ちを時々抑えられませんでした。ロヒプノール2mg、ドラール15mg、パキシル20mg、ドグマチール50mg×2を毎日飲み続け2年経ち、その頃ようやく報われて職場の虐待がなくなるきざしが見え始め、とても嬉しくて、その時は色々な人に多弁になっていました。操ではと医師に言われ、一方で仕事がとても忙しくなり日中の眠気が気になり始めて、以後パキシルは無くなり、リーマス200mg×2が加わり、ドラール15mgからベンザリン5mgに変わりました。一方で突然とても忙しくなった仕事を必死にこなしていて倒れてしまい、初めて休職しました。家で仕事をしていなくてもなかなか今度は寝付けなくなり、アモバン7.5mgが加わり、ベンザリン5mgから再びドラール20mgに戻り、メイラックス1mgを処方されるようになりました。2ヶ月ほどでリハビリ出勤し始めましたが、頭が働かず、アモキサン25mgが処方され、やがてトリプタノール25mgに変わり、それは5錠まで一時は増えました。メイラックスは2mgになっていました。色々つらいことも起きて、この頃は怒っては悔いて死にたい願望も強くなっていました。半年程で復職できましたが、眠くてならず、居眠りばかりしていました。当時は全く思い至りませんでしたが、今から思えばこの5年前の頃には既にベンゾジアゼパム依存症や離脱症状が出始めていたのだろうかと思います。3年前にはエバミール1mgが追加されました。この頃既になかなか寝付けなかったのだと思います。これは数ヶ月で止めたり再開されたりしてきました。2年前には日中の眠気がきつくてドラールが抜かれました。メリラックスも時間をかけ1mgにしたりして抜きましたが、途中はびっしり眠れなくなりました。この頃多忙で疲労困憊でもあったのですが、頭ぐるぐる回って車を運転している途中ブレーキを踏むつもりでアクセルを踏み込んで、300万円の損害賠償となった交通事故を起こしてしまいました。トリプタノールを3錠から1錠に減らしてもらえました。1年半前にはデジレル50mgが追加されました。1年前にトリプタノールは無くなりました。そして最近3月からの眠気はひどく多忙だったのですが、再度エバミール1mgが追加され、4月よりハルシオン0.25mgが追加されていました。4月はフルニトラゼパム2mg、ゾピクール10mg、デジレル50mg、エバミール1mg、ハルシオン0.25mg、リチオマール200mg×2、スルピリド50mgを飲んでいましたが、多忙な時期が終わって、月末になり3日続けて眠れなくなり、どうにかやっていた仕事と家事などほとんどが全くできないようになってしまいました。

ふみ:

「具合がとても悪いので一度薬物依存の専門病院のS病院でも診てもらいたいのですが、電話をしたら診療情報提供書を書いてもらいたいと言われたので、先生書いていただけますか。」

「具合が悪いのなら主治医の私に相談しなさいよ。」

「私は先生を信用していないのではないのです。怒ってもいません。先生は怒られましたが、困っているんです。あのう私はセカンドオピニオンを受けてみたいだけなのですが。」

「なら書くから、そちらで診てもらいなさい。」

「セカンドオピニオンを受けるのは悪いことなのですか。」

「悪くはないけどね。他の科はいいけど、精神科は責任の所在をはっきりしないといけないんだよ。」

「先生はベンゾジアゼパムの常用量依存について知らないとおっしゃられたので、知っているお医者さんの意見も聞いてみたいのですが。」

「知っているよ。」

「え。」

「知っているけれどね。不安になるとよくないので言わないんだよ。専門病院といってもねえ。私たち仲間で、みんなどの人も知っているよ。精神科なんてどこに行っても同じことを言われるよ。主治医が一番詳しいから主治医が一番いいんだよ。専門といってもねどこも同じだよ。ならどうぞ私はもう診ないから、そちらで診てもらいなさい。」

「え。転院しなさいということですか。」

「そうだね。」

でも主治医が一番だとおっしゃられるのに、先生はもう診ないという。私は専門病院の意見を聞いてみたいだけなんですが、どうしたらいいかわからない。先生は私を見捨てるんですか。私は信用しているから7年先生に診てもらってきました。相談しなさいと言われるなら、具合がとても悪いので、仕事を休んですぐに先生のところに行きたいのですが、時間をとってもらえますか。」

「今日は込んでて無理だね。」

「診断情報提供書は書いてもらえますか。」

「じゃあ書くから金曜日以降来てください。」

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以上は、今日職場からS病院に電話し色々伺ってから、診察の予約を要れ、診療情報提供書を頼まれたので主治医に電話をしたときの会話について、ショックを受けて電話を切ったあと、そうだこの時の会話をできるだけ覚えているうちに直ぐに残しておこうと思い、記憶をたどったものです。私はほとんど仕事ができない日がある中で、どうにかこうにかかろうじて仕事に行っており、差し迫った身体状況の苦しさや、失職の不安、またその迷惑、自分の将来についての不安を確かに感じています。しかし私は意志に不安を訴えたことはほとんどありません。眠れない、眠いと何度も訴えてメイラックスを処方されて服薬したこともありますが、不安神経症でもないでしょう。不安を感じるからこそ睡眠薬を減薬しなければと切実に思うようになったのです。私は今精神科においてもベネフィットとリスクについて、できるだけ真摯に伝えて欲しいと切実に願っています。主治医にも説明して欲しいと言っています。もしも私が正確なリスクを医師から誠実に伝えていただいていたならば、いくら眠れなくても私はもっと何年も前に減薬をして欲しいと主治医に頼んでいたと思います。その結果休職する期間が長くなっても仕方がなかったと思います。できるならば治療開始後3ヶ月以内にそれを行って欲しかったです。
日本では一部の精神障害者は実は精神科受診によって作られているのではないかと思います。知っているとなるともう医療過誤というよりも犯罪に近いように感じます。人を救おうとする人はその限界と逆に傷つけてしまうことについてよくよく考えて真摯に誠実に謙虚に率直であって欲しいと願います。うつ病に関しては長年患ったなかで「抗うつ薬や睡眠薬は対症療法ですが、急性期には効果があります。ゆっくりと休み、心の傷を癒してください」と伝えて欲しいと今思います。本当の意味で傷を癒せるのは時間と人なのだろうと思います。ベンゾジアゼピンの常用量依存については、早く知れ渡り、長期投与については規制がかかって欲しいです。原発や生肉のリスクのように。

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2010年05月25日 06:39に投稿されたエントリーのページです。

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