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東日本大地震 ボランティア考 (1)

最初に申し上げて起きますが、このエントリーの中で結論はありません。

たまたま周囲でこのたびの東日本大地震の被災者の方々に対するボランティア活動に行った人や、行きたがっている方々、そしてそれを批判する方々と話をする機会があり、いろいろと思うところがあったので、自分の考えの整理のために文章にしてみようとしているだけです。

まとまりのない内容になるかもしれませんが、ご容赦ください。

私の周りで議論になっているのは、主に次の2点です。

1) ボランティアは自己満足に過ぎず、自己満足や、被災者に対する優越感を感じたいがために行われる行為。被災者の人たちはそんな「ボランティア」に来てもらいたがっているだろうか/来てもらいたくはないだろう。

2) 何の訓練も受けておらず、専門知識や技術をもたない人間が大勢でやってきても、役には立たない。むしろ募金の方が被災者の方々は喜ぶはずだ。

1)はボランティアの動機に関するものであり、2)はボランティアの実効性に関するものと言えるでしょう。

私は実利主義者なので、動機はなんでもいいんじゃないかな、と思っています。
自衛隊が炊き出ししてくれても、自己満足ボランティアが炊き出ししてくれても、食べる側の被災者としては一緒でしょう。まあ、食べ物をよそってくれるボランティアの人があからさまに優越感を顔に出していたら腹も立つでしょうが。

「ボランティア 自己満足」というキーワードで検索をかけてみると、たくさんのサイトやブログがヒットします。
すでに「押しかけボランティア」や「迷惑ボランティア」、はては「モンスターボランティア」という呼称までが定着しつつあるようで、そうしたサイトを見ると、やっぱりボランティアより募金かな、と思ってしまいますが、このようなサイトもありました(私はネットで情報収集をする場合、1次情報を載せているサイト、公的なサイトもしくは公的な性格が強いサイトを優越させることにしています)。

APLaCという、日本人弁護士がオーストラリアで運営している事業体のウェブサイトで、「オーストラリアのボランティア活動の紹介」というページがあります。

このページでは、「オーストラリアは欧米と並んでボランティア活動が普及した『ボランティア先進国』」である一方で、「ほとんどの人が週1回~月1回程度しか参加しない」のだそうで、「大きなボランティア活動組織には常駐スタッフがいて働いていますが、彼らはボランティア組織から給料を支払われている『雇用者』」です」と述べられています。

オーストラリア人のボランティア参加意識についてインタビューされたボランティア・コーディネーターは、「自分も地域の一メンバーであることを実感したいからでしょう。実際には、空いてる時間ヒマだからとか、他メンバーと会って世間話をするのを楽しみにしているということもあります」と回答しています。

他にも、厳しい試験をパスしなければなれないライフセービングのボランティアが若者には人気で、その理由が「そりゃ男は女のコにモテたいからさ。女はボーイフレンドを作りたいから。要するに男女交流の場ってわけさ。しかも、ボランティアになると、サーフボードとか自分で買うにはちょっと高価なモノを無料で借りられるのさ。それが主なメリットかな」だったりします。

このページを筆者は「どのボランティア活動においても、『各参加者が自己完結したメリットを受けている』と認識している」ことに言及し、「ボランティアはボランティアされる人のためにやるのではなく、基本的には『自分のために』」やる活動であるべきだと思うのです」と結論付けています。

この論は私にとっては説得力があって、納得させられるものだったので、こういう、からりと明るい自己満足に基づくボランティアならばありなのかな、と思いました。

(つづく)


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コメント (2)

ゆれる:

はじめまして
被災者受け入れ事業に従事している者です。
私が今悩んでいるのは、本職か素人かよりも、自然体で接することが出来ない心です。

わがままが噴出し、非常識な要求や生活態度にも、震災の傷を負っているのだからと上から指導されれば、忍耐してきました。

でも、ここにきて、もしかして被災者の中には精神病?神経症?避難所(旅館)より、病院の方がいいのではと思われる人が目に付いて仕方ありません。
最初、その方々は労働組合系の政党員なので、権利主義で自分さえよければの言動を取っているのかと思いました。
だけど、前後の脈略のないマシンガントーク、虚言・暴言の連続技。まわりはへとへとです。

ボランティアはやめればいいことですが、職員はそうはいきません。
こういう非常事態における、精神安定のコツと、性格か病気かを見抜く方法とかございましたら、ぜひご教授下さい。

ふみ:

猫山司先生

先生のおかげで、私は自分の身体の中で起きていることの正体が見え始めてきたと感じます。

私も暇だったので、楽しかったので、癒されてきたので、長年ボランティアをしてきた経験があります。ボランティアの○○さんとよく言われました。でも「いいえボランティアされているのは私の方ですよ」と思って話して来ました。

それでも今回の大震災が起きて、すぐに身近な権威のある方からすわ私達専門職はボランティアをしなければと大量なメールを送りつけられることを経験しました。

それはいかがなものかと思ったので、控えて欲しいとお願いしました。

PS.

「Natsuさんからのコメント」
に私もコメントを投稿したのですが、お読みいただけましたか。コメントを承認、表示していただき、先生のご意見をまた綴っていただければありがたいです。

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2011年04月27日 17:10に投稿されたエントリーのページです。

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