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精神科と神経科と神経内科と心療内科 (6)

「精神科」もしくは「神経科」という訳語の起源について記載したサイトや書物を探していたのですが、みつかりませんでした。
どちらも対応する英語は“Psychiatry”または“Neuropsychiatry”だと思うのですが。
日本の精神医学の成り立ちと発展を考えるとドイツ語から攻めてみるべきなのもしれませんが……

ともあれ、「神経科」という言葉の存在意義としては、@IT(アットマーク・アイティ)というサイトでカウンセラーの谷地森久美子先生が述べられているように「イメージ的に『精神科』よりも『神経科』の方が、“(病院に対する)偏見”や“抵抗”が少ないだろうという、利用者側に立った病院の配慮の1つ」というのが正しいところだろうと思います。

こうした「配慮」は「精神科」と「神経科」のあらゆる順列組み合わせをも生むこととなりました。同じく“psychiatry”を意味し、同じ病気を対象としているであろうと考えられる科が、病院ごとに、実に紛らわしい標榜の仕方をしています。

大学病院についてざっと検索してみた限りでも――
精神科:浜松医科大学、昭和大学病院など
神経科:岐阜大学、東京医科大学病院など
精神神経科:福岡大学、神戸大学、獨協医科大学など
精神科神経科:山口大学、九州大学病院など
神経精神科:聖マリアンナ医科大学、埼玉医科大学、東北大学病院など
神経科精神科:金沢医科大学、鹿児島大学病院など

全部まとめて「精神科」でもいいように思われるのですが、「配慮」はしつつ、自科のアイデンティティを保とうと苦心惨憺した結果がこのような小手先のバリエーションなのでしょう。
むしろ患者さんたちに混乱をもたらしているようにも思えるのですが、患者さんの中にも確かに、「自分は精神科ではなく神経科の患者である」ことに拘られる方もおられるので、「精神科」だけを標榜科名にしてしまうとそれはそれで不都合が生じるのかもしれません。患者さんが受診するための心理的ハードルが高くなってしまい、受診すべき方が受診しなくなってしまったり、受診が遅れて、結果的に予後が不良になってしまうかもしれないからです。

また、医療機関側にとっては、患者さんの予後を考慮するとともに、経営面からも患者さんに受診してもらいやすい科名を標榜することが必要な側面もあります。
それほど営利追求型ではないはずの大学病院でも上記のような有様なので、私立病院やクリニックともなれば看板に何と書くかは色々な意味で重要です(私もこのブログに名前を付けるにあたって熟慮を重ねた結果、「精神科.net」ではなく「メンタルクリニック.net」にしました(笑))。
その帰結として、きわめて多様な「精神科」の異名や別名や通り名が街に溢れることとなりました。

本来は全く異なる科であるはずの「心療内科」が、そうした「精神科」という名詞の代替物の1つとして使われ始めたところに、現在の混乱の根の1つがあるように思えます。

次回からはついに本丸の「心療内科」について、です。

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アタシは依存症なんでしょうか…

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2006年11月15日 21:39に投稿されたエントリーのページです。

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