緑内障は40歳以上の方の17人に1人が罹患しているという決して稀ではない疾患であり,失明の原因としてはもっとも頻度が高いものです(Wikipediaの該当項がよくできているので,興味がおありの方にはお勧めします)。
実はこの緑内障,眼科の病気でありながら精神科治療においても鬼門です。
なぜなら,精神科の薬(向精神薬)のほとんどが,緑内障のうちの閉塞隅角緑内障を絶対的もしくは相対的な禁忌としているからです。
大多数の向精神薬は神経伝達物質の伝達を遮断したり促進したりすることで作用もしくは副作用を発現するのですが,古いタイプの抗うつ薬や抗精神病薬は,ほぼ例外なく,アセチルコリンという神経伝達物質の伝達を遮断する働き(抗コリン作用)を有していました。
抗コリン作用にポジティブな効果は無く,口渇や便秘,物忘れといった,旧世代の向精神薬の副作用の大半を担っていました。
そして,抗コリン作用を有する薬物は閉塞隅角緑内障を悪化させるため,一昔前まではほとんどの向精神薬が閉塞隅角緑内障を合併する患者さんには使えませんでした。
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