« ベンゾジアゼピンの隆盛と没落 (2) | メイン | 精神科の薬と緑内障 (1) »

パキシルの,メジャーでマイナーな副作用:補足

以前に書いた,「パキシルの,メジャーでマイナーな副作用 (1)」のコメント欄に,先日コロさんからご質問をいただきました。

個人的にも興味があったので少し調べてみたのですが,これはなかなかの難問のようです。
結論から申し上げると,私が調べたかぎりでは,パキシル(パロキセチン)によって生じた射精障害が,パキシル中止後どれくらいの期間で改善するかを確認した研究はないようです。

コロさんの場合,コメントでいただいた情報からすると,前後関係からしてパキシルによって射精障害が生じた可能性は高いと思います。

SSRIによる性機能障害は用量依存性であるようなので,中止ではなく減量でも射精障害が改善する可能性もありますが,パキシルが原疾患(うつ病なのでしょうか?)にものすごく有効であったということでもなければ,まあ私なら中止しますかね。

ただ判断が難しいのは,副作用は服用後まもなく発現する一方で,効果発現には数週間を要する点です。
パキシルを,どのくらいの用量,どれくらいの期間服用されたのかはわかりませんが,本当の意味でリスクとベネフィットを秤にかけられるのは十分量・十分期間を服用した後です。
しかし性機能障害の場合は耐性はほとんど生じない(飲んでいるうちに身体が慣れて自然解消するということがない)副作用なので,有効であっても中止,というのはありうる選択肢です。

パキシルは半減期が長く,向精神薬は一般的に脂溶性が高いので,身体から抜けるのには一定の時間を要します。
これには肝機能や体脂肪率が影響するので,個人差があって,一概にこれくらいという数字を示すのは難しいですね。

あまり役に立つアドバイスができなくて申し訳ありません。

メンタルヘルスブログランキング 現在33位


>>>「メンタルクリニック.net」トップページへ




コメント (1)

sss:

ベンゾジアゼピン系の減薬、断薬による離脱症状に対処する方法があれば、是非参考になる意見をお待ちしております。

かなりの方々が(精神疾患のみならず、他の疾患等でも)デパスやレキソタン等の半減期の短いもので薬の依存からの脱却に苦労しておられるようです。

お医者さんの中には、「依存ではなくあなたに必要なんです」とか「100年飲み続けても大丈夫」というような意見もあるようですが、本当なんでしょうか?

一方で「肝機能の低下を招く」、「人によって異なる」等、様々な意見があり、戸惑っています。

なにか明快な指針が無いものでしょうか?

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年08月03日 05:22に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「ベンゾジアゼピンの隆盛と没落 (2)」です。

次の投稿は「精神科の薬と緑内障 (1)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。