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ベンゾジアゼピンの隆盛と没落 (4)

ヒーリーは,欧米で起こったこのドラスティックなベンゾジアゼピンに対する評価の転換と対比させる形で,わざわざ日本の状況について言及しています。

欧米では1980年代にトランキライザー(≒ベンゾジアゼピン)の市場が崩壊したにも関わらず,日本においてはむしろ市場は成長を続けました。
このことはヒーリーにとってかなり奇異に映っているようで,「遺伝的に日本人はベンゾジアゼピンに依存しにくい」可能性まで挙げていますが,恐らくヒーリー自身もわかっているように,そのような科学的事実はありません。

恐らくはベンゾジアゼピンという薬の効き方や副作用が,良くも悪くも日本の精神医療の実情,処方医の性向,患者さんの志向にマッチしていたことが,日本でここまでベンゾジアゼピンが多用され続けていることの理由であろうと私は考えます。

「抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟」の中の1項を叩き台に欧米と日本におけるベンゾジアゼピンへの評価の違いをご理解いただいたところで,次回からはいよいよ「ベンゾジアゼピン依存」もしくは「ベンゾジアゼピンの正しいやめ方」に進むことにします。

[参考資料]
「抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟」,デイヴィッド ヒーリー,みすず書房 (2005/08)

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(この項終わり)


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コメント (1)

ぴよぴよ:

どちらにお書きして良いのかわからず、こちらの方に書かせていただきます。「デパス等抗不安薬を飲みつづけていいのか…」の掲示板に書き込みをしているぴよぴよです。いつも大変お世話になっています。前掲示板の「デパス…②」の掲示板が終わり、新しく「デパス…③」の掲示板が始まりましたので、ご連絡させていただきます。(http://community.pureness.co.jp/1/read.php?id=1820)
だんだん掲示板の書き込みが特定の人達で行われるようになってしまい、雑談やらも多くなってしまっていますが、メンタルな病を患っている仲間同士、お互いに励ましあっています。周囲に理解のないことや、こういう病の患者同士の交流の場がないことが、掲示板を更に盛り上げているように思えます。そんな掲示板ですが、猫山先生、今後とも宜しくお願い致します。
先生のプログの方も毎日見させていただいてます。次回から「ベンゾジアゼピン依存」もしくは「ベンゾジアゼピンの正しいやめ方」が始まるとのことで、大変期待しております。
既に欧米ではベンゾジアゼピンの隆盛がとうの昔に終わっているようですが、他国ではベンゾジアゼピンの代わりに何を使っているのでしょうか?安定剤がないとまだまだ私は生活に支障をきたしてしまいます。しかしながら、依存や耐性を気にしながらの服用にも抵抗を感じている次第です。

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2007年09月01日 17:55に投稿されたエントリーのページです。

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