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睡眠薬と安定剤の正しい止め方 (14)

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さて,この患者さんは,ことほど然様にありがちな経緯で,現在4種類のベンゾジアゼピン系薬物を服用していることになります。

まず,目安として,ジアゼパム換算量を算出してみましょう。
慶大精神神経科臨床精神薬理研究班1999年版(出典:「向精神薬の等価換算」,星和書店)に基づけば……

デパス 3mg/日=ジアゼパム 10mg/日
ソラナックス 1.2mg/日=ジアゼパム 7.5mg/日
ハルシオン 0.25mg/日=ジアゼパム 5mg/日
ロヒプノール 2mg/日=ジアゼパム 10mg/日

よって,ジアゼパム総換算量は32.5mg/日です。
よくみかける処方ではありますが,改めて計算してみるとけっこうな量を飲んでいることになります。「睡眠薬と安定剤の正しい止め方 (2)」で引用したHallstormらによる常用量依存の定義が「ジアゼパム 30mg/日以下,あるいは同等量の他のベンゾジアゼピンを継続的に使用し,断薬時に明らかな離脱症状が生じること」ですから,例示した患者さんは,Hallstormらが想定した「常用量」を超えた量のベンゾジアゼピンを年単位で飲み続けていることになります。

欧米で考案された定義やベンゾジアゼピン離脱法が日本でそのまま用いがたいのにはこのような背景があります。
日本における「常用量」は,欧米では往々にして「乱用量」と見做されるような用量×服薬期間になってしまうのです。

>>>睡眠薬と安定剤の正しい止め方 (15)


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コメント (1)

hup:

常用量依存の定義が「継続的に使用し」とあるところに一安心いたしました。
個人的な薬では、換算量28mg/dayが頓服をいれてMaxで、最近は、20(base)~25(頓服含む)mg/dayなので、少しづつ減薬していく方針で、主治医と相談していますが、確信が少しもてました。
本ブログを引き続き有益に活かして読ませていただきます。

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2007年12月26日 07:16に投稿されたエントリーのページです。

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