睡眠薬と安定剤の正しい止め方 (9)
昨日の大阪は暑かったです。
学会は今日が最終日。収穫があったらこのブログ上で報告します。
今日は「睡眠薬と安定剤の正しい止め方」の番外編。文献の紹介です。
Stephen M. Stahlの「暗黙の了解:ベンゾジアゼピンは 今でも不安障害治療の主要治療薬」。
Journal Clinical Psychitryという米国の専門誌があります。
米誌でも有名どころでインパクト・ファクターも高く,日本の臨床家にもよく読まれている(ことが望まれる)雑誌ですが,この巻頭に「Brain Storm」という名物コラムが連載されています。「暗黙の了解:ベンゾジアゼピンは 今でも不安障害治療の主要治療薬」はその一編。
で,その和訳がWeb上にアップされていて,誰でも合法的にアクセスすることができます。
ここまで,米国ではベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬の使用が少ないことをこのブログ上でも強調してきしてきましたが,もちろん全く使われていないわけではありません。それどころか実は……というのが「暗黙の了解:ベンゾジアゼピンは 今でも不安障害治療の主要治療薬」の内容。
Stahlの文章は分かりやすいので,非専門家が読んでも十分理解できると思います。Stahlはベンゾジアゼピンの短絡的な否定論に懐疑的なスタンスですが,それでも日本のような長期大量漫然投与を推奨しているわけでもありませんね。
Stephen M. Stahlは,毀誉褒貶はあるようですが,米国における臨床精神薬理学の第一人者で,「精神薬理学エセンシャルズ―神経科学的基礎と応用」,「精神科治療薬処方ガイド」といった著書があります。
どちらも専門書で(それゆえに高額で),内容も高度なのですが,わかりやすさは随一。私は名著だと思いますね。
向精神薬を理解する上で,コメディカルスタッフや患者さんにもお勧めです。
>>>睡眠薬と安定剤の正しい止め方 (10)
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